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恋愛体験談Tapple

プロフィールのSpotifyを見たら、私のプレイリストだった

Tappleのプロフィールにリンクが貼ってあった。開いたら、自分が去年の秋に作ったプレイリストとほぼ同じだった。最初のメッセージを打つ手が震えた。

24歳・女性の体験
·橘みあ·5分で読める

気まぐれで開いた水曜の夜、彼のプロフィールを見た。


24歳、フリーランスのデザイナー、東京在住。写真は3枚。最初の1枚はカフェで本を読んでる横顔、2枚目は友人らしき人との旅行写真、3枚目はなぜかレコード屋の棚の前。自己紹介に「音楽が日常のBGM。Spotifyのリンク置いときます」とあって、URLが貼ってあった。


開いた。


凍った。


クリームの「White Room」、ザ・バンドの「The Weight」、レッド・ツェッペリンの「Going to California」、Nick Drakeの「Pink Moon」、あいみょんの「マリーゴールド」、藤原さくらの「Soup」、indigo la Endの「夏夜のマジック」——


全部ある。全部、私が去年の秋に作ったプレイリスト「晴れた日の夕方」にある曲だ。


手のひらに汗をかいた。


もう一度確認した。彼のプレイリスト、タイトルは「窓が開いてる日」。ぜんぶで22曲。私のプレイリストは18曲。曲の半分以上がかぶっている。アーティストのジャンルも、洋楽のクラシックロックと、日本の今どきのシンガーソングライターが混在する感じも、まったく同じ。


こういう人が実在するんだ、と思った。


口語と文語の混在した内心のまま、メッセージを打った。


「プロフィールのSpotify開きました。これ私のプレイリストみたいです。White RoomとNick DrakeとIndigo la Endが同じプレイリストに入ってる人、初めて見ました。スクショ送ります」


送信。スクショも添付した。自分のプレイリストの画面キャプチャ。「晴れた日の夕方」、16曲が表示されている。


既読がついた。返信まで8分。体感では2時間。


「え、何これ。怖い(笑)。同じ曲多すぎる。White RoomとNick Drake、同世代で好きな人ほとんどいないですよ……どこで出会ったんですか」


「父親がロックが好きで、子供の頃から車の中でかかってました。Nick Drakeは大学の時に自分で掘って」


「掘って! その言葉遣いが好きです(笑)。僕も父親経由です。クリームはほぼ遺伝」


「遺伝(笑)。でもそこからあいみょんに繋がるのが謎」


「そこが一番説明難しいんですよ。なんか、声のトーンが似てる気がして。ちょっとシリアスで、でも諦めてない感じ」


そのまま1時間、音楽の話をした。お互いの「同じ気分の時にかけたい曲」を交換した。私はキリンジの「エイリアンズ」を出した。彼は「完璧」と一言だけ返した。


初デートは池袋の中古レコード屋から始まった。


「レコード屋から始めるデートって珍しいですよ」と言ったら、「でも絶対話すことあるじゃないですか」と言われた。確かに。


棚を2人で端から端まで眺めた。彼がファンカデリックのレコードを手に取った。「これ、お父さんのを聴いたことある?」と聞いた。「あります。でも好みはもう少しシンプルな方で」と言ったら「正直で良い」と笑った。


私がキャロル・キングの「Tapestry」を見つけて持ち上げた。「名盤じゃないですか」と彼が言った。「わかってる」と返した。「上から(笑)」と言いながら彼が笑った。その笑い顔が、横顔より正面から見ると眉が少し細くて、くすっとした笑い方で、思ったより可愛かった。


昼ごはんは池袋の中華屋で担々麺を食べた。山椒が効いていて口の中がしびれた。向かいで彼も同じ顔をしていた。「辛い」「辛いですよね」「でもうまい」「うまい」。2回繰り返した。


夕方、帰り際に彼が言った。


「プレイリスト、続けて更新します。遠藤さんが更新したら教えてください」


「なんで?」


「曲の趣味の変化が知りたい」


曲の趣味の変化が知りたい。その言葉の奥に、「あなたのことをこれからも見ていたい」という意味がある、と気づいた時、喉が乾いた。


「……わかりました。教えます」


帰りの電車でイヤホンを付けた。あいみょんの「マリーゴールド」が流れ始めた。知ってる曲なのに、今日から少し違う音に聴こえた。


Spotifyのリンクを貼っていてくれてよかった。プロフィール文だけじゃ、きっと気づかなかった。

この記事を書いた人

橘みあマッチングアプリ体験談ライター

27歳・東京。Pairs・with・Tinder・Omiai・タップルを延べ3年間使用。マッチングアプリで3人と出会い、2回失恋した経験をもとに執筆。失恋した夜に誰かのブログで楽になった経験から、このサイトを始めた。

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