アプリ恋愛の失恋は、なぜこんなに立ち直りにくいのか
Pairsで出会った人に振られた。「普通の失恋」と同じだと思ってた。でも違った。アプリを開けば似た顔の人が表示される、出会いの場に戻れない独特の辛さ。4つの段階を経て立ち直った記録。
振られた夜、反射的にPairsを開いた。
失敗から見えたこと
——自分でも意味がわからなかった。今さっき別れたアプリで、もう次の人を探そうとしている。指が勝手に動いた。スワイプした3人目で、元カレに似た顔の人が出てきて、スマホを投げた。
壁にぶつかったスマホが床に落ちて、画面にヒビが入った。放射状のヒビ。蜘蛛の巣みたいな模様。それを見て、ようやく泣いた。三軒茶屋のワンルームで、床にしゃがみ込んで、声を殺して泣いた。隣の部屋の人に聞こえたくなかった。
マッチングアプリでの失恋は、普通の失恋とは質が違う。何が違うか。3つある。
一つ目。「出会いの場」と「別れの記憶」が同じアプリの中にあること。失恋後に「次に行こう」と思ってアプリを開くと、そこはかつて元カレと出会った場所。アプリのアイコンを見るだけで、彼のプロフィール写真が脳裏にフラッシュバックする。あの笑顔。代々木公園で撮った、犬と一緒の写真。メッセージのやりとりは消えているけど(ブロックされたから)、あの興奮と期待の記憶が消えない。新しい人のプロフィールを見ながら、頭の中は元カレでいっぱい。「この人も犬好きなんだ……犬……彼も犬好きだった」。全部が元カレに繋がる。
二つ目。「代替品がすぐに見つかる」という錯覚。アプリにはたくさんの人がいる。スワイプすれば次から次へと出てくる。だから「次の人を見つければ立ち直れる」と思ってしまう。でもそれは、傷口にバンドエイドを貼っているだけで、中は治っていない。私は振られた3日後にマッチした人と新宿のバーで会って、2時間ずっと元カレの話をして、相手に引かれた。当然だ。彼は「へえ、大変でしたね」と言いながら時計を3回見てた。帰り際に「お大事に」って言われた。デートの別れ際に言う言葉じゃない。
三つ目。「共通の思い出を共有する人がいない」こと。職場恋愛や友人の紹介なら、共通の知人がいて、話を聞いてもらえる。「あいつ最近どうしてる?」って聞ける人がいる。でもアプリで出会った相手との思い出は、二人だけのもの。別れた後、その思い出を誰にも話せない孤独がある。下北沢で食べた担々麺のことも、井の頭公園でボートに乗ったことも、中目黒の夜桜を見上げたことも、私しか覚えていない。
変えたこと・試したこと
失恋から立ち直るまでに、4つの段階があった。
【第1段階:否認と代替行動(0〜2週間)】
「別にそこまで好きじゃなかった」と自分に嘘をつく期間。仕事中は平気なフリをして、夜になると崩れる。アプリを開いて新しい人を探すけど、誰にもときめかない。マッチしてもメッセージを返す気力がない。3文字打って消す。「こん」。消す。またアプリを閉じる。この時期にやるべきは、アプリを一旦消すこと。私はこれが遅くて、2週間で3人とマッチして全員にフェードアウトした。相手にも申し訳ないことをした。傷ついてる時に他人を巻き込むのは、二重に罪。
【第2段階:反芻と後悔(2週間〜1ヶ月)】
「あの時こうしていれば」が止まらない期間。布団の中で天井を見つめながら、脳内再生が始まる。LINEのトーク画面を遡って(ブロックされてない方のアカウントに残ってる分だけ)、彼の言葉を何度も読み返す。「あのメッセージの返し方が悪かったのかな」「3回目のデートで余計なこと言ったかな」「あの夜、もう少し素直になれていたら」。答えの出ない反芻を繰り返して、胃が痛くなる。みぞおちが常に重い。朝起きた瞬間から、石を飲み込んだみたいな感覚がある。
この時期に助けてくれたのは、ノートに書き出すこと。「何が起きたか」「何を感じたか」「何を学んだか」を箇条書きにした。頭の中でぐるぐる回っている思考を、文字にして外に出す。ボールペンで紙に書く。スマホのメモじゃなくて、紙。書く行為自体が、感情を手放す動作になる。3ページ書いた日もあった。それだけで少し楽になった。
【第3段階:再構築と発見(1ヶ月〜3ヶ月)】
少しずつ日常が戻る期間。朝起きて、最初に元カレのことを考えない日が出てくる。仕事に集中できる時間が増える。友達と笑える。代官山のカフェでチーズケーキを食べた時、「おいしい」って素直に思えた。味覚が戻ったみたいで、その「おいしい」に泣きそうになった。
今だから言えること
この時期に始めたのがランニング。三軒茶屋の自宅から駒沢公園まで走って、噴水の前のベンチで汗を拭いて、帰る。20分の間はスマホを見ない。イヤホンもしない。自分の呼吸と足音だけ聞こえる時間が、思考のリセットになった。走っている間は何も考えられない。心拍数が上がると、頭の中が空っぽになる。それが気持ちよかった。
【第4段階:受容と前進(3ヶ月〜)】
「あの恋はあれでよかった」と思える日が来る。元カレを嫌いになったわけじゃない。でも、彼がいない生活にも幸福はあると気づく。一人で見る映画もいい。一人で食べるラーメンもいい。一人の時間が孤独じゃなくて、自由に感じられるようになった。
アプリを再開したのは4ヶ月後。今度は「次の人を見つけるため」じゃなくて「自分のペースで、面白い人に会ってみたい」くらいの温度で始めた。焦りがなくなったら、やりとりが楽しくなった。プロフィールを読むのが面白い。この人はこんな趣味があるんだ、こんな仕事してるんだ、って純粋に興味が湧く。
一つ、失恋中の自分に言いたいことがある。
「次の恋で上書きしよう」はやめた方がいい。上書きしたつもりでも、下に元のデータが残っている。新しい人と一緒にいるのに、ふとした瞬間に元カレの面影を探してしまう。「あ、この人も左利きだ」とか「同じ銘柄のビール飲むんだ」とか。それは新しい相手にも失礼だし、自分の傷も治らない。
傷は、傷のまま抱えていい。無理に忘れようとしなくていい。下北沢の担々麺を一人で食べた時、「あ、おいしい」って思えた。彼と来た時と同じ味、同じ辛さ。でも、もう泣かなかった。それでいい。時間が経てば、痛みは記憶に変わる。記憶になれば、次の恋のヒントになる。
画面のヒビは修理した。心のヒビは、もう少し時間がかかった。
よくある質問
マッチングアプリの失恋から立ち直るにはどれくらいの期間が必要ですか?↓
失恋後すぐにマッチングアプリで新しい人を探すのはNGですか?↓
アプリ恋愛の失恋が普通の失恋より辛い理由は何ですか?↓
この記事を書いた人
27歳・東京。Pairs・with・Tinder・Omiai・タップルを延べ3年間使用。マッチングアプリで3人と出会い、2回失恋した経験をもとに執筆。失恋した夜に誰かのブログで楽になった経験から、このサイトを始めた。
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