自己肯定感が低いままマッチングアプリを使うとどうなるか。1年間の体験から
いいねが来るたびに確認してしまう、マッチが来ないと落ち込む。それは恋愛の問題じゃなかった。
いいねを一日に何十回も確認していた話
仕事中もそわそわしていた。昼休みにスマホを開いて、Pairsのいいね数を確認する。23時に布団に入っても眠れなくて、また確認する。朝起きて、顔も洗わないうちに確認する。
増えていたら、ちょっとだけ世界が明るくなる。
減っていたら、喉の奥に何かつかえる感覚があった。
そのとき27歳で、アプリを使い始めて4ヶ月目だった。「いいねが取り消された」ということは、誰かに「やっぱりいらない」と判断されたということ。頭ではわかっていても、ダメだった。「自分という人間が削除された」ような気持ちになった。
これはアプリの問題じゃない。今ならそれがわかる。
承認欲求の罠
「好かれたい」「認められたい」という気持ちは、誰にでもある。それ自体は、別におかしくない。
でも当時の私は、その気持ちが強すぎた。いいね数=自分の価値、という方程式が、気づかないうちに頭の中に出来上がっていた。
Twitterで「今日Pairsでいいね100超えた!」という投稿を見て、「私は今32。負けた」と思った瞬間がある。何に負けたのか、今でもよくわからない。ただ、そういう比較を自動でやっていた。
マッチングアプリは、承認欲求を刺激するように設計されている。通知がくる、数字が見える、反応が数値化される。それ自体は悪くないけれど、自己肯定感が低い状態で使うと、アプリが「出会いを探す場所」じゃなくて「自分の価値を確認する場所」にすり替わる。
気づいたときには、もうそうなっていた。
相手に好かれようとして、自分が消えていく
1年間で、3人と付き合った。
最初の人とは恵比寿で会った。withでマッチして、2回のデートで付き合うことになった。でも3ヶ月で終わった。
別れた後、何がいけなかったんだろうと考えていたとき、友人に言われた言葉が刺さった。「あなた、彼氏といるとき楽しそうじゃなかった気がする」。
楽しそうじゃなかった。それは本当だった。
食事のお店は、いつも彼に選ばせた。映画も、週末の予定も。「どこ行きたい?」と聞かれるたびに「どこでもいい」と答えた。嫌われたくなかったから。自分の意見を出して、「めんどくさい」と思われるのが怖かったから。
「会いたい」より「嫌われたくない」が、いつも先に来ていた。
2人目も、3人目も、似たようなパターンだった。メッセージの返信が2時間来ないだけで胃がきゅっとなって、「既読スルーされた」と思い込んで長文を送る。相手が少し冷たい文体でLINEしてきたら、「怒らせたかな」と一晩考え込む。
相手のことが好きというより、相手に嫌われることへの恐怖で動いていた。
それは恋愛じゃなかった。今思えば。
3ヶ月、アプリを閉じた
3人目と別れたのが、アプリを始めて1年後の秋だった。
またすぐ新しい人を探そうとしたけれど、なんか、疲れた。スマホを開く手が止まった。アプリを全部削除して、3ヶ月休んだ。
最初の1ヶ月は、何もしなかった。週末に一人で中目黒を歩いて、特に目的もなくカフェに入って、本を読んだ。「一人でいる自分」を久しぶりに体験した気がした。
2ヶ月目に、青森へ一人旅をした。初めての一人旅だった。弘前のねぷた祭りの後の静かな朝、宿の窓から知らない町を見ていたとき、「あ、これ楽しい」と思った。誰かに報告しなくていい楽しさ。誰かに確認してもらわなくていい感情。
そういうものを、ずっと忘れていたんだと気づいた。
3ヶ月目に、本をたくさん読んで、昔からの友人と長電話して、「自分が何を楽しいと感じるか」「何が嫌いか」「どういう人と一緒にいたいか」を、ちゃんと考えた。ノートに書き出したりもした。それまで「相手にどう思われるか」ばかり考えていたのに、「自分はどう思うか」を考えるのが、最初はぎこちなかった。
アプリを再開したとき
3ヶ月後、またPairsを入れた。
正直、何かが劇的に変わったわけじゃない。自己肯定感が爆上がりして別人になりました、なんてことはない。
でも、いいね数を確認する回数は減った。1日に1〜2回になった。マッチが来なくても、「まあそういう日もある」と思えるようになった。返信が遅い相手に対して、「忙しいんだろうな」と思える日が増えた。
変わったのは、たぶん「アプリの数字が自分の評価じゃない」という感覚が、少しだけ腑に落ちたから。
実際に会う人も変わった。以前は「相手が自分を選んでくれた」ことに必死になっていたけれど、「この人と話していて私は楽しいか」を考えるようになった。下北沢の小さいカフェで会った人に「えー、それ私も好き!」と言えた瞬間、久しぶりに「自分がいる」感じがした。
アプリは道具でしかない
Pairs も with も Tinder も、ただの道具。
出会いを見つけるためのツールで、自己評価を測るためのものじゃない。でも、自己肯定感が低いまま使うと、その区別が消える。通知のたびにそわそわして、数字のたびに一喜一憂して、相手の反応で今日の自分の価値が決まるような感覚になる。
もしいま、いいねの数を1日に何十回も確認しているなら、少し立ち止まってほしい。それはアプリの使い方の問題じゃなくて、もっと手前にある何かのサインかもしれない。
アプリを開く前に、「自分は今日、何が楽しかったか」を一つ言えるか。それが、案外大事な確認だった。
1. スマホを置いて、一人で出かける時間を週1回作る(目的地はどこでもいい)
2. デートの感想を「相手は楽しんでいたか」ではなく「私は楽しかったか」で振り返る
3. プロフィールを「好かれるため」ではなく「自分らしく」書き直す
4. いいね数を見るのを1日1回だけにする、と決めてみる
ルールじゃなくて、実験として試してみると、少し軽くなる。
承認欲求は、満たされても次の承認欲求を呼ぶ。でも、自分の中に「これが好き」「これは嫌だ」という軸ができると、外側の数字がそこまで揺さぶってこなくなる。
恋愛って、誰かに認めてもらう場所じゃなくて、自分でいられる場所を一緒に作ることなのかもしれない——と、1年遠回りしてやっと思えた。
よくある質問
マッチングアプリでいいねが来ないと落ち込むのはなぜ?↓
自己肯定感が低い人がマッチングアプリを使うときの注意点は?↓
マッチングアプリで成功するには自己肯定感が必要?↓
この記事を書いた人
27歳・東京。Pairs・with・Tinder・Omiai・タップルを延べ3年間使用。マッチングアプリで3人と出会い、2回失恋した経験をもとに執筆。失恋した夜に誰かのブログで楽になった経験から、このサイトを始めた。